供養

承継しなくてもよいお墓・方法(4)
― 散骨 ―

承継しなくてもよいお墓・方法

火葬場で火葬を終えると、残った遺骨をどうするのかを考えなければなりません。どうするかは、お墓がある場合とない場合で、異なります。
ここではない場合について説明します。
お墓がない場合には、まず「承継者の有無」を確認することが重要です。承継者がいないと「無縁墓」となってしまうからです。
調査の結果、約4割が無縁墓だったという自治体もあり、大きな社会問題になっています。

承継のポイント

では「承継者の有無」は、どのように考えれば良いのでしょうか。
あなたの親の遺骨の場合には、最低二世代先まで考えなければなりません。つまり、あなたがお墓に入った後に、子供がそのお墓を継いでいくのかどうかです。
ここでのポイントは、子供がいるというだけではなく、子供が継いでくれるのかどうかです。
子供がいても、「別の宗教を信仰していて継げない」とか、「引き継ぐ気持ちがない」かもしれません。ですから、子供に相談して意思を確認することが大切です。

承継するお墓・しないお墓・お墓以外の選択

「承継者の有無」が確認できたら、どうするかの選択に入ります。

「有」の場合は「承継する」お墓
「無」の場合は「承継しない」お墓
「承継しない」選択には、お墓以外のものもあります。

ここでお墓というのは、お墓に関する法律である「墓地・埋葬法」に基づき、遺骨を埋葬または埋蔵するものです。
それらをまとめると下図のようになります。

遺骨をどうするのか<br>4つのマトリックスと選択遺骨をどうするのか
4つのマトリックスと選択

承継しなくてもよいものには、図のように、お墓以外の方法もあります。
今回は、その一つのである「散骨」について説明します。

散骨とは

散骨とは、遺骨を墓地には埋葬せず、細かく砕いて粉骨にして、海や山などに撒く方法です。
最終的に自然と融合していくことから、自然葬とも言われる葬法の一つです。
散骨には、すべての遺骨を撒いてしまうケースもあれば、一部だけを散骨するケースもあります。

散骨の法律的な解釈

散骨の法律的な解釈として、以下があげられます。

墓埋法との関係

遺骨の埋葬について定めている「墓地、埋葬等に関する法律」(略称:墓埋法)には、散骨についての規定はありません。
つまり、遺骨を墓地以外に埋葬すると同法に違反しますが、遺骨を海や地面の上に散骨するだけの場合は、同法は適用されないとされています。

刑法190条との関係

遺骨に関する法律にはもう一つ、刑法190条の「遺体損壊・遺棄罪」があり、散骨が、この「遺体遺棄・遺棄罪」に当たるのかどうかが問題になります。
これについては、法務省は「刑法190条の規定は、社会的習俗としての宗教的感情などを保護するのが目的だから、葬送のため祭祀で節度を持って行われる限り問題ない」との見解を示したことがあります。
これは、ある団体が散骨を公然と行った後、新聞社の取材に対して法務省が答えたものであり、公式見解とは言い難いとされています。
しかし、その後、国として公式見解は出していないものの、散骨は広く行われるようになっており、散骨を黙認してきたと言える状況になっています。

散骨を希望する理由

国も黙認してきたこともあって、当初は「特殊な人たちが行う葬送」と思われた散骨も、この20年位で広く認知されるようになり、現在では一般の人の認知度も9割以上と言われています。
認知度の高まりと共に、「自分の遺骨は散骨にして欲しい」という人たちも増えてきています。
「自分は散骨にしてもらいたい」という人たちの主な理由は、次のようなことが挙げられます。

 ・死後は、海や山などの自然に還りたい。
 ・思い出のある場所で眠りたい。
 ・お墓は高額で費用を出せない、あるいは出したくない。
 ・暗くて狭いお墓には入りたくない。
 ・お墓を承継する人がいない、あるいは承継する人がいなくなる。
 ・残していく家族に、お墓の世話で迷惑をかけたくない。

散骨する際のルールやマナー

先ほど説明したように、法務省は「葬送のため祭祀で節度を持って行われる限り問題ない」との見解を示しましたが「節度」とは何を指すのかまでは示していません。
そこで、散骨業者で構成する業界団体や散骨業者は、節度を持って行うための自主的なルールやマナーをつくっています。
その主なものは、以下の通りです。

粉骨にする

遺骨は、遺骨で分らない程度の大きさ(1~2ミリ以下)の粉末状に砕かなければいけません。
遺骨と分かる状態で散骨した場合、刑法90条の遺体遺棄罪に抵触するおそれもあります。

散骨する場所を考慮する

散骨は、周囲の環境に配慮して行わなければなりません。
まず、当然ながら他人の所有地に撒いてはいけません。
漁場や水源となる場所、養殖場などの近くでは、風評被害による社会問題や訴訟になる可能性もあります。
また、海水浴場の近くである場合は、岸から1キロメートル以上離れた、人目につかない場所で行うようにします。

自然環境に配慮する

自然環境を破壊するようなもの(容器や花のくきなど)は一緒に撒かないようにします。

人がいない時間帯に散骨する

散骨に関して抱く感情は人それぞれです。それだけに、散骨は他の人のことも考え、迷惑がかからないように行う必要があります。
公共の場所で行う散骨は、なるべく人のいない時間帯に行うように心がけます。
散骨している側としては、故人の大切な遺骨を撒くことで弔っているとしても、それを関係ない人が目にした場合、気分を悪くする可能性もあるからです。

散骨時にほかに人がいる場合には喪服は避ける

散骨する時に、周りに人がいなければ、どのような服装をしていても問題はありません。
ただ、複数の人で船に乗り合わせていたり、ツアーなどで自分以外にも旅行客がいたりする場合には、喪服の着用は避け、散骨だと分からないようにするのがマナーと考えられています。

ゴミは持ち帰る

散骨を行った後は、必ず後始末をしてから帰ります。粉骨をこぼしたまま帰るのは、もってのほかです。
また、献花する場合には、花を包んでいたラッピング用紙などのゴミはすべて持ち帰るのがマナーです。

散骨の種類と費用

散骨には次のようなものがあります。あわせて、費用目安もご紹介します。

海洋散骨

散骨の中で最も多いのが海洋散骨です。業者に依頼して行う海洋散骨には、以下の種類があります。

個別散骨

家族・親族で、船を借り切って行う方法です。
身内だけで単独で行うので、落ち着いてお見送りができます。
ただし、船のチャーター代は、一家族・親族で支払わなければならないため、費用は最も高くなります。費用の目安は、20万~35万円です。

合同散骨

複数の遺族・グループが同じ船に乗り合わせて行う散骨です。
チャーター代は、遺族・グループで分担するので個別散骨よりは安くなりますが、乗船できる人数が決まっていたり、日程が決められていたりするなど、個別散骨よりは制約があります。費用の目安は、8万円~12万円です。

委託散骨

遺族は乗船せず、散骨業者に委託して、散骨してもらう方法です。
遺族自らは散骨できませんが、その分費用は安く抑えられます。費用の目安は、3万~5万円です。
墓じまいが増えてきていることや、費用が安いことなどから、最近は、委託散骨が増えてきています。

陸上散骨

粉骨を陸上にまく方法です。
陸上は、地権者など権利保有者の許可が必要ですし、住民の反対などから条例を設けて散骨を禁止・規制する市町村もあります。
こうしたことから、陸上での散骨場所は、限られているのが現状です。
日本で唯一の散骨専用の島として、隠岐群島のカズラ島があり、島全体が散骨の対象になっています。
参考:自然散骨カズラ島

宇宙散骨

宇宙散骨とは、専用のカプセルに遺灰を入れ、ロケットなどに載せて宇宙へ打ち上げるものです。
月面に散骨するもの、人工衛星に搭載するもの、ロケットに搭載するものなどがあり、プランや費用は業者によって異なります。
費用は、従来は100万円以上と高額でしたが、最近では20万円台で利用できるものの出てきており、利用する人も少しずつ増えてきています。

散骨する場合の留意点

散骨は、遺骨をお墓に埋葬するという伝統的な葬法ではないため、以下のような点に留意する必要があります。

親族の理解を得る

散骨は、故人の希望であっても、親族の意見を踏まえた上で行わないと、後でトラブルになることもあります。事前に相談し、理解を得るようにしましょう。

全部散骨にするか一部散骨にするか検討する

散骨には、遺骨をすべて撒いてしまう「全部散骨」と、遺骨の一部は残す「一部散骨」があります。
特に「全部散骨」の場合は、その後の法要をどのような形で行うのか、墓参りの代わりにどのような形で故人を偲ぶのかなどが問題になります。
また、一度「全部散骨」してしまうと、後でお墓を造りたいと思ってもできませんので、よく検討しましょう。
「全部散骨」のこうしたデメリットを解消する一つの方法として、最近は「一部散骨」にする人も増えてきています。
遺骨の一部を、小さな骨壺に入れて自宅に置いて故人を偲んだり、ペンダントなどに加工して身に付けたりする人もいます。

散骨を禁止する自治体もある

自治体によっては、条例で散骨を禁止しているところもあります。散骨を希望する場合は、必ず確認するようにしましょう。

ABOUT ME
桑原 侑希
桑原 侑希 大手葬儀社にて、10年以上葬儀業に従事し約2000件の葬儀を行ってきました。葬儀のことは勿論、ご葬儀までの終活の相談や、葬儀が終わった後のご供養方法、各種手続きについての相談を受ける内に、その道のエキスパートに。皆さんの葬儀・終活にまつわる「なぜ?」にお答えします。
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