2019年のお盆はいつ?
みなさんは「お盆」という言葉を、以下2つの意味合いで使い分けていませんか?
・お盆休み(=夏休み)の意味合い
・先祖供養の意味合い
お盆休み(=夏休み)の意味合い
お盆を夏休みの意味合いで用いる場合があります。
お盆休みは8月に取るのが一般的で、従来のお盆の風習に準じると、13日~16日の4日間がお休みとなります。
そして、2019年は8月13日~16日をお盆休みにすると、8月10日~18日までの9連休になる方もいます!!
先祖供養の意味合い
そして、先祖供養の意味合いで使う「お盆」です。
みなさん「お盆」はどのように過ごしていますか?
私は地方に祖父母の家があったので、幼い頃は「お盆は、おじいちゃんとおばあちゃんの家に行って、従兄弟たちと海に行ったりする、夏休み旅行」と思っていました。
大きくなってからも「お盆は、祖父母の実家に親戚が集まって、ご先祖様のお墓参りをする行事」と、あまり深く考えた事はありませんでした。
しかし、お盆にはこんな由来と長い歴史があると、知っていましたか?
お盆の由来
お釈迦様の弟子の中で、神通力が一番とされている目連尊者(もくれんそんじゃ)が、ある時、その神通力によって亡き母が餓鬼道に落ち苦しんでいると知りました。
そこで、どうしたら母親を救えるのかお釈迦様に相談したところ、お釈迦さまは夏の修行が終わる7月15日に多くの人に施しをすれば救われると言われました。
そこで、目連尊者はお釈迦様の教えに従い、多くの僧たちに飲食物をささげて供養しました。
すると、その功徳によって母親は極楽浄土をとげることができたのです。
それ以来、旧暦の7月15日は、先祖や亡くなった人達が苦しむことなく成仏できるようにと、子孫が感謝をささげ供養をする重要な日になったそうです。
因みに、日本では飛鳥時代の西暦606年に初めてお盆の行事が行われ、奈良時代の8世紀頃には風習として広まったといわれています。
お盆の時期は地域によって
お盆休みは全国的に8月が多いですが、先祖供養のお盆は地域によって7月に迎えるところと8月に迎えるところ、さらには旧暦の7月に迎えるところもあり、各地域に根付いて独自の発展を遂げてきました。
旧暦の7月にお盆を迎える地域
沖縄では、旧暦の7月にお盆を迎えるところがあります。(ただし、最近では8月にお盆行事を行う地域や家庭も増えているそうです。)
旧暦は月の満ち欠けによって暦を定めるため、新暦の何月何日が旧暦のお盆の時期と重なるかは、毎年変わります。
2019年のお盆は以下の日程となります。
8月13日(火) 盆の入り/迎え盆
8月14日(水) 15日(木) 盆中日
8月16日(金) 送り盆
7月にお盆を迎える地域
東京、横浜、静岡などの地域では、7月にお盆を迎えます。
2019年のお盆は、以下の日程となります。
7月13日(土) 盆の入り/迎え盆
7月14日(日) 15日(月) 盆中日
7月16日(火) 送り盆
8月にお盆を迎える地域
上記の沖縄、東京、横浜、静岡以外の地域では、8月にお盆を迎えます。
2019年のお盆は以下の日程となります。
8月13日(火) 盆の入り/迎え盆
8月14日(水) 15日(木) 盆中日
8月16日(金) 送り盆
お盆供養の作法(マナー)と流れ
地域によって、お盆を迎える月が異なることからもわかるように、お盆のこまかな作法については、宗派よりもお住まいの地域や家庭ごとの決め事が多いと言われています。
例えば、浄土真宗の場合はお盆飾りに提灯や灯篭は用いないと言われますが、地域や家庭によっては飾られることも珍しくありません。
ここでは、一例を紹介します。
お盆の当月・盆月の朔日(ついたち)
この日に、あの世の釜のフタが開いて、ご先祖様の霊が冥土からそれぞれの家に旅立ちます。盆月の準備は、朔日から始まります。
寺院への依頼
菩提寺と言われるお付き合いのあるお寺さんに、お盆のご供養を依頼します。
お寺さんや地域の風習などによって、檀家と言われる菩提寺とお付き合いがある家族がお寺の本堂などに集まってお読経をあげるのか、菩提寺さんがお付き合いのある家族の家を回ってお経をあげるのか異なります。また、菩提寺によってはお塔婆など必要な物があることもありますので、習慣を確認しておきます。
お墓・お仏壇のお掃除
ご先祖様の霊をお迎えするために、お墓・お仏壇のお掃除は盆月に入ったら早めに行いましょう。
お墓のお掃除について知りたい方は「あなたは大丈夫?意外と知らないお墓参りの作法について」ご覧ください。
お仏壇のお掃除は、本尊やお位牌・仏具を乾いた柔らかい布で拭き、ほこりを払います。
塗りや金箔などで装飾されている部分を、濡れた布でこするように拭くと、剥がれたりするので、注意が必要です。
お線香を立てる香炉の灰には、お線香の燃え残りがあるので割りばしなどで取り除き、表面を平らにならします。
12日 お迎え準備
盆の入りの前日にあたる12日までには、お盆の飾りつけとお供えをします。
お盆飾りは、仏壇屋さんで購入が出来ます。
三段飾りの本格的な設えから、最近の住宅事情に合わせてコンパクトなお盆飾りなど、様式も様々です。
インターネットで購入も可能ですが、一度地元の仏具屋さんで地域の飾り方や自宅のお仏壇サイズにあったお盆飾りの方法などを相談してから、検討すると良いかもしれません。
お盆のお飾り例
お盆の飾りつけは、盆棚(精霊棚)と呼ばれるお盆飾り用の台を使用します。
盆棚(精霊棚)はお仏壇の前や付近におき、まこも(すだれ状のゴザ)を敷きます。
台の上には中央にご先祖様のお位牌を安置し、ナスやキュウリで作った牛や馬、精進料理のお膳や、季節の野菜や果物、故人の好物をお供えします。
また、家族がお参りしやすいように香炉やお線香、りんは、お仏壇から盆棚(精霊棚)などに移動します。
盆棚(精霊棚)のそばには霊前灯とよばれる、仏様やお仏壇を明るく照らす小さな回転提灯や花瓶に盆花を用意します。
13日 盆の入り/迎え盆
お盆供養では「迎えは早く、送りは遅く」と、一般的には言われています。可能であれば、お墓参りは午前中に行いましょう。
昔からの風習では、お墓で線香をつけその火を提灯に移して持ち帰り盆棚の灯明に移していました。(この火が精霊だとも言われます。)
今は、お墓参りだけ行うことが多いようです。
夕方になると、「迎え火」を灯します。
迎え火は、霊が家に帰る際に迷わないように、暗くなると仏壇に盆提灯などを灯したり、庭先や門口で苧殻(麻の茎)をたいたり、玄関に提灯を下げて迎え火の代わりとします。
ご家庭によっては、小さいお子様やご高齢な方・猫や犬などのペットがいて、提灯の火を灯し続ける事が心配な方もいると思いますが、盆提灯に電気で明かりを灯したり、明かりを灯さずにただお飾りしたりすることで迎え火や送り火としても良いそうです。
14・15日 盆中日
お盆中のお供え物は、地域によってさまざまですが、家族と同じ食事をお供えする地域が多いようです。
また、盆中日には、ご住職を迎えて読経をいただき、親族や故人と親しい人達を招いて会食をすることが一般的です。
法要にお招きして、提灯や「御仏前」として現金や供物を頂いた場合は、引き物を用意する場合があります。
不祝儀の際によく使われる、お茶やタオルセット・ハンカチなどの消耗品で、2000円前後が目安となります。
デパートなどで依頼すると、お品物には「志」の懸け紙をかけて用意が出来ます。
ご住職に読経をいただく際には、お布施を用意します。
お布施袋は、コンビニでは売っていない事もあります。お盆当日に慌てて用意する事がないように、仏壇屋さんや文房具店で探しておきましょう。
お布施には「〇〇家」と姓を書くか、施主の氏名を書きます。
16日 送り盆
ご先祖の御霊は午前中まで我が家にいるので、お供えをします。
夕方、戸外が暗くなったら、苧殻(おがら)を焼いて「送り火」を焚きます。「来年もお会いしましょう」という気持ちを込めて、お見送りすると良いですね。
17日 後片づけ
お盆飾りは、なるべく早めに片づけましょう。特に、お位牌は送り火が終わったら、お仏壇に納めてしまいましょう。
初盆で用意する、白提灯以外のお盆飾りのお道具は基本的に、毎年利用します。
霊前灯や行灯(小型提灯)は、紙で作られている部分もあります。
ご先祖様が我が家に帰ってくるときの目印にするお道具なので、破れたりしないように丁寧に扱いたいですね。
新盆(初盆)とは
亡くなってから初めて迎えるお盆のことを「新盆(あらぼん・にいぼん)」または「初盆(はつぼん)」と呼び、故人が、極楽浄土から初めて我が家に里帰りするということで、普段のお盆より丁寧な供養を行います。
お寺さんや地域の風習などによって、新盆(初盆)には自宅にご住職を迎えて読経をいただいたり、近親者が色柄のある盆提灯を贈ったりします。
新盆(初盆)の準備について
地域によっては、新盆(初盆)に絵柄の入っていない白い提灯を用意します。
白提灯は初めて戻ってくる故人の霊が迷わないように軒先などに吊り下げるもので、新盆(初盆)の時だけに用いる、特別な提灯です。
白提灯は一回限りのお飾りです。お盆が終わったら家族で片づけますが、魂が入るものではないので供養などをする必要はないと考えられています。
四十九日(忌明け前)より前にお盆を迎えたときは
地域の風習もありますが、一般的には四十九日の忌明けより前にお盆を迎えたときは、翌年が新盆(初盆)になります。
日本の有名なお盆行事
日本の夏祭りの起源は、亡くなった方を弔う行事を由来としているものが多いと言われています。
打ち上げ花火
打ち上げ花火はお盆の行事が起源で、初精霊の供養に花火の火の粉で灯籠焼を行ったものだと言われています。
歴史ある花火大会といえば「隅田川花火大会」です。
始まりは、1733年(享保18年)で、前年に凶作によって100万人近い餓死し、江戸市中でも疫病により、多くの人が犠牲となった年でした。
八代将軍吉宗が悪疫退散祈願と犠牲者の霊を慰めるために両国橋付近で「水神祭」を開催した際、隅田川両岸の水茶屋も参加して川施餓鬼(かわせがき)を催し、余興として花火大会を催したのが始まりで、その翌年からも花火が上げられるようになり、これが年中行事となりました。
参考:隅田川花火大会
灯篭流し
灯籠流し(とうろうながし)は、死者の魂を弔って灯籠(灯篭)やお盆の供え物を海や川に流します。
永平寺大燈籠ながしでは、曹洞宗大本山永平寺の役寮(修行僧とは別に組織の運営や修行僧の教育指導などの役目を担当する人)、雲衲衆(全国各地から集まった数百名の若い修行僧)による読経後、九頭竜川に約1万個の燈籠が流され、クライマックスには花火があげられます。
盆踊り
盆踊りの起源は諸説ありますが、平安時代中期に庶民に浄土教を広めた空也上人がはじめた「踊り念仏」がお盆の行事と結びつき、精霊を迎える、死者を供養するための行事として定着していったという説があります。
岐阜県の郡上八幡では、江戸時代から400年続く郡上おどりが行われます。
7月中旬から9月上旬にかけてのべ33夜にわたって踊られる、 日本一期間の長い盆踊りです。
8月13~16日の4日間は、夜明けまで踊りが続きます。
参考:郡上八幡観光協会
大文字焼き
京都の伝統行事「大文字焼き」は、正確には「五山の送り火」と呼びます。
その起源は、平安時代とも室町時代とも言われ、お盆に帰ってきたご先祖様の魂を再びあの世に送り出す「送り火」と同じ意味があります。
京都の人々に親しまれている伝統的な宗教行事です。
まとめ
お盆は仏教的な儀式ですが、迎え火や送り火、ナスやきゅうりの牛や馬の意味合いを知ると、ご先祖や亡くなった方をお迎えする、身近な行事に思えませんか。
「ありがとう」の気持ちを込めて準備をし、精一杯のおもてなしでお迎えをし、「来年もまた」とお見送りが出来るといいですね。