葬儀

危篤になったときの心構え
やること・決めること

危篤になったときの心構えと、やること、決めること

危篤になったときの心構えと
やること・決めること

危篤とは、容体が悪化して命の危険があると医師が判断する状態になることです。
自宅での看取りを決めている方でない限り、多くの方は病院で危篤を迎えるでしょう。
大切な方が危篤になり、医師や看護師さんから「最後にお会いさせたい方がいたら(看取りに立ち会う方がいたら)ご連絡をしておいてください」や「お亡くなりになった後のことを考えておいてください」と、もし言われたら、どうすればいいでしょうか?
今回は、危篤のときにやること・決めることをまとめました。
あなたは、以下のような不安や疑問はありませんか?当てはまるものがあれば、ご覧ください。
・最後にお会いさせたい方とは?誰に・なんて声をかければいいの?
・危篤の際に、宗教者を呼ぶの?
・亡くなった後のことって、何を決めておくの?
・現金が必要になる5つの項目とは?

最後にお会いさせたい方とは?
誰に・なんて声をかければいいの

大切な方が危篤のときに、連絡する相手として「家族や親族、親しい友人など、危篤の方が亡くなる前に会ってほしい方」と「危篤の方が、信仰している宗教の宗教者」が考えられます。

危篤の連絡は、2~3親等以内の親族が一般的

危篤の連絡は、一般的に2~3親等以内の家族・親族が目安と言われています。
家族や親族は「高齢になり、長年連絡を取り合っていない」「事情があって絶縁状態になってしまった」などの理由がない限り、危篤の連絡を聞いて駆けつけることができないとしても、連絡はしておいたほうが無難です。
もし、危篤の連絡をしなかったとしても、ご逝去後には訃報の連絡はしておくべきと、心得ましょう。
危篤連絡の親族範囲

また「普段から、お見舞いなどで会いに来てくれる方」など、普段から親しくお付き合いしているご友人に危篤の連絡をする方もいます。ただし、看取りに立会ってもらうというより、最後に会ってもらうという考えの方が多いでしょう。
危篤になる前に、連絡する方のリストを作っておくと、いざというときに連絡の漏れを防げるだけでなく、訃報の連絡にも役に立ちます。

危篤の連絡は、深夜や早朝でも構わない

家族や親族への危篤の連絡は、深夜や早朝でもためらうことはありません。緊急事態ですから、すぐに連絡しましょう。
「目上の方だから」「普段から親しく付き合っているわけではないから」といった理由で遠慮することで、危篤の連絡が遅れてしまい、逝去に立ち会えないことになっては、目も当てられません。
ただし、深夜や早朝に連絡するときには、配慮が求められます。
そのような際は、深夜や早朝に連絡して申し訳ないと伝えたうえで、危篤になったことを伝えましょう。
ご友人への危篤の連絡はその方との間柄にもよりますが、一般的には看取りに立会ってもらうことになってしまうかもしれない程、緊急性が高い場合は連絡を控え、逝去後に訃報を伝える方が多いようです。

危篤の連絡は、電話が最適

電話であれば、確実に危篤になったことを伝えることができます。
メールやLINEなど、メッセージを送るだけでは、必ず伝わるとは限りません。
電話で危篤になったことを伝えた後に、メールやLINEなどで病院の名前や場所を連絡することで、正確な情報を伝えることができ、メモを取ってもらう手間を省くことができます。

危篤の連絡内容は、あらかじめまとめておく

危篤を落ち着いて連絡することは、難しいものです。連絡を受けた方も、冷静に受け止められることができない場合もあります。
危篤の連絡はあらかじめ内容をまとめておくことで、分かりやすく伝えることができます。伝える内容をまとめるときの主なポイントは、次の7項目です。

 ・自分の名前
 ・危篤の方との関係性(父、母など)
 ・危篤になったの方の名前
 ・医師の診断内容
 ・いつまでに来てもらいたいか
 ・危篤の方がいる場所(病院の場合は、病院名と病室の番号まで)
 ・自分の連絡先

危篤連絡の例

危篤の際に、宗教者を呼ぶの?

危篤の方が信仰している宗教が、仏教やキリスト教の場合は、危篤から臨終までの宗教儀礼があります。
ただし、病院によっては、宗教儀礼を制限している場合もあるので、あらかじめ、病院に確認しておくと良いでしょう。

仏教:枕経(まくらぎょう)を行う

危篤の方が仏教徒の場合は、僧侶に枕経を行ってもらいます。(枕経とは、臨終する前に仏の弟子となって往生できるように唱える読経です。)
かつては、自宅で亡くなる方が多かったため、危篤になると僧侶に連絡し、危篤の方の枕もとでお経を唱えてもらいましたが、最近では病院で亡くなる方が多いことから、省略する方が増えています。
自宅で危篤の方を看取る場合は、枕経を行うかどうか僧侶に相談しましょう。

カトリック:病者の塗油(とゆ)の秘跡(ひせき)を行う

危篤の方がカトリックの場合は、まだ意識があるうちに神父を呼んで、病者の塗油の秘跡を行います。
病者の塗油の秘跡とは病人を救う儀式で、神父が信者の懺悔を聞き、神の許しを請う祈りを捧げて聖書を朗読します。このとき、同席の方も神父とともに祈りを捧げます。
儀式には白い布をかけた小机の上に十字架とロウソク、聖油壺、聖水などを用意します。急な場合には、神父が持参する十字架と油、聖水だけで行われることもあります。

プロテスタント:聖餐式(せいさんしき)を行う

危篤の方がプロテスタントの場合は、まだ意識があるうちに牧師を呼んで聖餐式を行います。
聖餐式とは、旅立ちの時を迎える前に、牧師が信者へキリストの肉と血を象徴とするパンとブドウ酒を与え、死者の魂が永遠の安息を得られるように祈る儀式です。儀式の間は、同席の方も一緒に祈りを捧げます。
なお、洗礼をまだ受けていない方の場合は、聖餐式ではなく臨終の祈りを牧師に捧げてもらいます。
もし、危篤の方が望めば、病床で緊急洗礼を受けることもできます。

亡くなった後のことって、何を決めておくの?

亡くなった後のことに備えて、あらかじめ決めておいたほうが良いことが2つあります。
それは、「病院からの帰り先」と「葬儀社」です。
亡くなった後には、冷静に考えることが難しくなります。
看取りを安らかな気持ちで迎え、旅立ちを悼むためにも、あらかじめ決めておくと良いでしょう。

亡くなった後、病院から帰る先を決める

病院で亡くなった後、葬儀の日を迎えるまでを過ごす場所(=帰り先)を決めておく必要があります。
帰り先として自宅が考えられますが、以下の理由から自宅には帰れないという事もあります。
 「亡くなった方と同居しておらず、自宅に帰っても一緒に過ごせる人がいない」
 「マンションなので、自宅に連れて帰ることが難しい」
 「近所の方に知られたくはない」
その際は、葬儀社から紹介された安置施設を利用します。

葬儀社を決めて、病院から移動できるようにする

病院で亡くなった場合、亡くなった方が安置先に移動するために、寝台車が必要になります。
この寝台車は葬儀社が手配してくれるので、事前にどの葬儀社に依頼するか、決めておきましょう。
本当は自宅に連れて帰りたいが、事情があって連れて帰れないという方は、葬儀社に相談すると良いでしょう。
例えば「マンションの出入り口が狭く、自宅に連れて帰ることが難しい」という場合には、エレベータや出入り口のスペースを葬儀社に確認してもらえば、移動方法を提案してくれて自宅に帰る事ができるかもしれません。
また、「近所の方に知られたくない」という方は、深夜や早朝に自宅に帰ることを相談してみましょう。

現金が必要になる5つの項目とは?

危篤の際は、臨終に備えて現金を用意しておくと良いでしょう。縁起でもないと思う方もいるでしょうが、このタイミングで用意しておくことで、慌てることなくお別れの時を迎えられます。
それでは、どのような項目に支払いが必要になるのかを紹介します。

病院への支払い

病院によっては、退院時すぐに入院費用の支払いを求めるところもあります。
入院が長期にわたった場合は、それなりの金額を用意しておきましょう。

タクシー代などの交通費

大切な方が病院で亡くなった際には、病院から自宅に帰りますが、その際の移動に伴う、タクシー代などが必要になります。(自宅に帰らず葬儀社から紹介された施設で葬儀までの安置を依頼した場合には、安置施設まで家族が同行する事もあります。)

亡くなった方の移動は、葬儀社に依頼して寝台車を手配します。この寝台車に家族も乗ることができますが、乗車人数は1人か2人です。それ以上の方がお帰り先に同行する場合は、タクシーなどを手配して、一緒に移動をします。
お帰り先では、お参りをしたり、葬儀社と打合せをするので、もし、日中の移動で公共交通機関を利用できても、亡くなった方に付き添う意味も込めて、別行動は避けましょう。

葬儀社への支払い

葬儀費用は、準備する現金の中では最も高額なため、事前に準備しておくことをお勧めします。
支払いは、葬儀社にもよりますが、葬儀の契約を終えた後や、葬儀を終えてから1週間以内が一般的です。
葬儀費用の相場は195万7000円といわれていますが、どのような葬儀を行うのか、家族の考え次第で費用は大きく変わります。
葬儀費用を用意するうえで、おおよその金額を知りたい方は、葬儀社に相談して見積もりを取り寄せましょう。

僧侶へのお布施

葬儀を仏教葬で行う場合、僧侶に読経をしてもらい、戒名をもらうお礼に渡すのがお布施です。
渡すタイミングは、お通夜が始まる前や、終えた後が一般的です。お金の準備の中では、葬儀費用に次いで高額なので、こちらも事前に準備しておくことをお勧めします。
お寺の檀家となっている方は、そのお寺の僧侶に確認しましょう。
檀家のお寺がないという方は、葬儀社に相談しましょう。葬儀社が僧侶を紹介してくれます。その際に、お布施の金額を確認しましょう。

関係者への心づけ

心づけとは、受付を手伝ってくれた友人や会社関係の方、葬儀を行う斎場・葬儀場や、火葬を行う火葬場のスタッフ、霊柩車の運転手などに渡す謝礼です。
2000円から5000円が相場で、斎場・葬儀場や、火葬場のスタッフなどに渡す心づけは葬儀社が一括して預かります。(公営斎場や葬儀社によっては、心づけを受け取らない所もあります。)
なお、家族や親族以外に葬儀の取り仕切りをお願いした世話役に渡す心づけの相場は、5000円から1万円です。

最近では、病院やタクシー・葬儀社も、クレジットカードでの支払いに対応しているケースがあります。
現金の用意が間に合いそうにない場合や、クレジットカードでの支払いを検討している方は、事前にWebサイトや電話での問い合わせで確認しておきましょう。

危篤の際には、大切な方の最期に立ち会うために、迅速かつ冷静な対応が求められます。
病院に向かう移動手段は、できれば電車やタクシーなど公共機関の利用が望ましいのですが、車を運転して病院に向かう場合は、まずは深呼吸して、スピードの出しすぎに注意しましょう。
危篤となって意識がなくても、聴力は機能し、音を感じていると言われています。
大切な方へ想いを伝える安らかな時間を過ごすためにも、準備できることから始めてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
桑原 侑希
桑原 侑希 大手葬儀社にて、10年以上葬儀業に従事し約2000件の葬儀を行ってきました。葬儀のことは勿論、ご葬儀までの終活の相談や、葬儀が終わった後のご供養方法、各種手続きについての相談を受ける内に、その道のエキスパートに。皆さんの葬儀・終活にまつわる「なぜ?」にお答えします。
お葬式ナビ
お葬式ナビで、あなたにぴったりな葬儀社を無料で探してみませんか。
▼詳細はこちら▼