葬儀

葬儀の一般的な流れ(2)
〜ご遺体の搬送から通夜まで~

葬儀の流れ ご遺体搬送から通夜まで

葬儀の一般的な流れ ~ご遺体の搬送から通夜まで~

葬儀について知りたいことの消費者調査では、「葬儀費用」と並び「葬儀の流れ」がトップに挙げられることが多くなっています。
昔なら葬儀は、町内会など地域のコミュニティーが主体となって執り行われていたので、葬儀の流れを知らなくとも葬儀は挙げられました。
しかし、社会構造の変化によって、葬儀も家族・親族中心に執り行われるようになったことにより、知りたいことのトップに挙げられるようになっています。
そこで、葬儀の一般的な流れを以下の4つに分け、ここでは(2)の死亡直後の対応について説明します。

葬儀の流れ ご遺体の搬送~通夜

ご遺体の搬送

かつて、ご遺体は、病院から寝台車に乗せて自宅に搬送しました。20年前ころからは葬祭ホールが増えてきたことから、病院から葬祭ホールの安置室に直行することが多くなっています。
ご遺体の搬送はあらかじめ決めていた葬儀会社に連絡すれば行ってくれますが、葬儀会社が決まっていない場合は、病院付きの葬儀会社に依頼することができます。しかし、ご遺体の搬送を依頼しても葬儀まで依頼する必要はありません。搬送をきっかけとして葬儀まで請け負おうとする業者も多く、後でトラブルになったということもよくあるようです。
その葬儀会社に葬儀を依頼するつもりがないなら、はっきり断りましょう。
あるいは、その葬儀会社を含め何社か比較検討して決めるつもりなら、葬儀の見積もりだけもらい「葬儀もお願いする時は連絡します」などと伝えましょう。

ご安置

ご遺体を自宅に搬送した場合は、納棺までの間、布団にご安置します。

枕直し

布団に安置するとき、枕直しをします。一般的には「北枕」といって、頭を北に向けるようにします。
部屋の構造上無理な時は、西、すなわち西方浄土(さいほうじょうど)の方角に向けます。
北枕にするのは、釈迦が亡くなった時に頭を北に向け、顔を西向きにして寝ていたという、涅槃(ねはん)の故事に由来するとされています。
神道でも北枕にしますが、キリスト教や無宗教では向きにこだわりません。

枕飾り

枕直しをした後は、故人を供養するための「枕飾り」を設置します。
子机に白い布をかけ、「三具足」(線香、花、燭台)と、枕飯、枕団子、水、リンなどを置きます。
枕飯というのは、白米のご飯を新しく炊き、山盛りにして箸をたて、死者に供するものです。この習慣は、戦国時代など食文化や貧しかった時代から続いてきており、白米のご飯は死者にとっては大変なご馳走なのです。
枕飾りのしきたりや作法は、宗派や地域によっても違いますので、葬儀会社や僧侶の指示に従えばいいでしょう。

守り刃

枕直しでは、刃物を遺体の上に載せる習俗があります。
正当的な解釈では、死者に悪霊などがとりつく道具、魔除けをして考えられていますが、各地の伝承によって刃物の役割は違っています。
浄土真宗では、死はけがれではないと考えられ、そのようなことを行う必要はないとされています。

枕経

枕飾りを整えたら、枕経をあげてもらうために菩提寺の住職を迎えるのが正式です。
しかし最近では、菩提寺がない人も多く、枕経は省略されることが多くなっています。

ご安置ご安置

打ち合わせ

ご安置が終わると、葬儀の打ち合わせを行います。打ち合わせでは、以下のことを数時間かけて決めます。

葬儀を行う場所葬儀を行う場所を、「遺族が住んでいる場所」「参列者の人数を予想した収容力」「交通の便」「宿泊はできるか」などの条件を考えて選びます。
葬儀を行う日程葬儀を行う日時を、「お寺の都合」「新族の都合」「式場や火葬場の空き状況」などを総合的に考えて日程を決めます。
どのような葬儀を行うのか「宗教形式は何にするのか」「弔辞は頼むのか」「挨拶は誰にするのか」など、どのような葬儀にするのかを決めます。

通夜・葬儀の準備

打ち合わせが終わると、通夜、葬儀に向けて準備を行います。準備する主なものは、以下の通りです。

遺影写真の用意葬壇に飾る遺影写真用に引き伸ばすために、写真を探します。
(できるなら早めに選んでおきましょう)
関係者への連絡親戚や、通夜や葬儀を知らせた方がよい友人、知人、近所の人などに、通夜・葬儀の場所、時間、形式などを連絡します。
現金の用意葬儀会社に支払う費用、お坊さんに渡すお布施、火葬場への支払いで必要になる現金を用意します。
故人の預貯金を使う場合には、注意が必要です。
金融機関は、故人の死亡が分かった時点で故人名義の預貯金を凍結してしまうので、遺産相続が完了するまで現金が引き出せなくなります。
葬儀費用や当面の生活費などを故人の口座から引き出す必要があるなら、存命中に引き出しておきましょう。
副葬品の用意納棺の儀式の時に棺に納めたい、故人ゆかりの品物を用意します。
ただし、火葬の時に燃え残ってしまうようなものは、火葬場の規定により認められていませんので注意しましょう。
通夜・葬儀
手伝いの依頼
受付、会計、道案内の係を友人、知人、同僚などに依頼します。

湯灌(ゆかん)

納棺の前に「湯灌」をすることがあります。
昔は、遺体を洗って清めることを「湯灌」と言っていました。「逆さ水」と言って、たらいに水を入れておき、そこにお湯お加えて適音にしていくという方法によって行われていました。
現在は、それに代わって、遺体を洗い、死化粧などをして納棺する一連の作業を「湯灌の儀」と称して行う業者があります。
訪問介護の入浴サービスのように、専用の設備を備えた車で自宅にやってきて行う専門業者や、葬祭ホールに湯灌の設備を備えている葬儀会社もあります。

納棺

故人を棺に納める「納棺」を行います。

死装束

納棺する時には、衣服をあらためます。
死後の旅立ちのために「仏衣」と呼ばれる死装束を身につけます。西方浄土(極楽、仏さまの国)へ旅する僧侶を巡礼者にならったものです。
「経帷子」(きょうかたびら)と呼ばれる白い着物に経文を記した着物を、日常とは逆に着せ、手甲(てつこう)、脚絆(きゃはん)をつけ、足袋と草履を履かせ、頭陀袋(ずたぶくろ)に入れた六文銭をご遺体の首に掛けます。
しかし、「仏衣」は、最近はあまり人気がなくなり、故人が好きだった洋服に着替えさせる人が増えています。
また、死装束用のドレスを商品化する業者も現れ、ドレスに着替えさせる人も徐々に増えてきています。

納棺

故人の納棺は、棺の底に薄い布団を敷き、頭の部分に枕を置きます。遺体を寝ていたシーツにくるむようにして、頭、脚、胴を支えて持ち上げ、棺の中に寝かせます。
その後、故人が愛用した副葬品を入れます。
納棺が済んだら、参列者が故人に最後のお別れをした後、蓋をして、金襴(きんらん)の布などの覆いを掛けます。
棺は、葬祭ホールの場合には式場の祭壇に安置し、自宅の場合も設えた祭壇に安置します。

通夜

通夜の本来の意味は、故人が生き返って欲しいとの願いを込めて、身近な人たちが生前と同じように最後の夜を一緒に過ごすというものです。
昔は、遺族だけ集まり、遺体に悪霊が入り込まないように徹夜で付き添い、線香やろうそくの灯を絶やさないようにしました。
現在は、牛後6時頃からお坊さんがお経をあげ、遺族、一般の参列者の順に焼香を行います。
一般の参列者は、本来は翌日の告別式に参列する習慣でしたが、特に都市部では、勤め帰りに立ち寄りやすいことなどの理由から、通夜に参列する人の方が多くなりました。通夜がまるで告別式のようになってきています。
そのため、参列者向けに料理を用意することが多くなっています。一般の人は、焼香が終わると料理の席に案内されます。料理を召し上がった後、お返しの品物を受けとって帰ります。
お経が終わってお坊さんが退席すると、遺族も料理の席に移動します。

ABOUT ME
桑原 侑希
桑原 侑希 大手葬儀社にて、10年以上葬儀業に従事し約2000件の葬儀を行ってきました。葬儀のことは勿論、ご葬儀までの終活の相談や、葬儀が終わった後のご供養方法、各種手続きについての相談を受ける内に、その道のエキスパートに。皆さんの葬儀・終活にまつわる「なぜ?」にお答えします。
お葬式ナビ
お葬式ナビで、あなたにぴったりな葬儀社を無料で探してみませんか。
▼詳細はこちら▼