葬儀

斎場・葬儀場とは? 種類や違い、選び方や探し方も紹介

斎場・葬儀場とは? 種類や違い、選び方や探し方も紹介

葬儀の一般的な流れ ~死亡直後の対応とマナー~

葬儀を行う場所として、斎場や葬儀場と呼ばれる施設は知っていても、どこにあるのか、施設の中はどうなっているのか、ご存じない方は多いのではないでしょうか。
今回は、斎場・葬儀場の役割や具体的な設備などの基本的な解説をします。また、斎場・葬儀場の種類や、種類ごとの特徴を紹介し、さらに斎場・葬儀場の選び方も併せて解説します。
この選び方を参考にすることで、あなたの考えに合った斎場・葬儀場を必ず見つけることができます。
数ある斎場・葬儀場の中から、自分の考えに合った施設を選ぶ方法をすぐに知りたい方は「斎場・葬儀場の選び方 7つのポイント」をご覧ください。

葬儀を行う斎場・葬儀場とは?

従来の葬儀は、自宅で行われるものでした。しかし、1990年代に葬儀を行う専用の施設、斎場・葬儀場の建設が進み、葬儀を行う場所は、斎場・葬儀場が一般的となりました。
どうして、斎場・葬儀場で葬儀を行うようになったのでしょうか。

斎場・葬儀場が選ばれる理由

斎場・葬儀場で葬儀を行うことが一般的となった理由は、自宅で行う葬儀に比べて、手間がかからなかったからです。自宅で葬儀を行うためには、部屋の片づけが必要であったり、家族や親族が参列者への飲み物や食事を用意したりする必要がありました。近所の方の手伝いがあっても、相当な負担がかかるものです。
しかし、斎場・葬儀場であれば、葬儀を行う前に待機する待合室から受付、葬儀を行う部屋まで、設備はすべて整っています。葬儀社のスタッフや斎場・葬儀場のスタッフが参列者を案内するので、家族や親族は参列者への挨拶に専念できます。食事をする部屋もあるので、お通夜の後に参列者が食べる通夜振る舞いや、葬儀・告別式の後に家族や親族が食べる精進落としも、葬儀社が用意し、片付ける必要はありません。
斎場・葬儀場が葬儀を行う場所として一般的になったのは、このほかにも理由があります。都市部で見られる理由としては、自宅が狭くて葬儀を行うだけのスペースがないこと、近所の方との関係が薄くなり、葬儀を手伝うという意識が薄れていったこと、家族や親族で行う家族葬が増えていったことなどが挙げられます。

斎場・葬儀場と火葬場との違いは?

斎場・葬儀場は、お通夜や葬儀・告別式を行う専用の施設です。
斎場・葬儀場を火葬場と勘違いされる方もいますが、火葬場は火葬を行う施設で、お通夜や葬儀・告別式を行う場所ではありません。このような勘違いが起こる理由は、もともと斎場・葬儀場が、火葬場に隣接して建てられたからです。そのため、今でも火葬場を斎場・葬儀場と呼ぶ地域があります。
1970年代に斎場・葬儀場で葬儀を行った後、隣接する火葬場で火葬する形が確立され、1990年代には火葬場に隣接しない、独立した斎場・葬儀場が数多く建設されるようになりました。
現在は、病院で亡くなった故人を迎え入れる、霊安室を備えた斎場・葬儀場も建設されています。

霊安室とは、葬儀の日まで故人の体が傷まないように 安置する施設で、ドライアイスを当てて安置する霊安室もあれば、冷蔵設備を備えた霊安室もあります。

斎場・葬儀場のまとめ

斎場・葬儀場のまとめ

■ 斎場・葬儀場は葬儀を行う施設

■ 火葬場は、葬儀を終えた後に故人を火葬する施設 

■ 斎場・葬儀場と火葬場は、一般的には離れた場所にあるが、同じ敷地内に併設されている場合もある

■ 斎場・葬儀場には、葬儀の日まで故人を安置する霊安室を備えている施設もある

斎場・葬儀場の種類と特徴

葬儀を行う斎場・葬儀場の種類は様々です。ここでは、斎場・葬儀場を大きく以下の3種類に分けて紹介します。
1つ目 自治体が運営する公営の斎場・葬儀場
2つ目 民間の企業が運営する民営の斎場・葬儀場
3つ目 お寺が運営する寺院の斎場・葬儀場

公営の斎場・葬儀場の3つの特徴と利用上の注意

まずは、自治体が運営する公営の斎場・葬儀場の特徴を紹介します。公営の斎場・葬儀場の特徴は、3つあります。

特徴1 使用料が安い

第1の特徴は、施設の使用料が民営の斎場・葬儀場に比べて安いことです。
例えば、東京都にある公営の斎場・葬儀場の一例として、臨海斎場の使用料を紹介します。
この臨海斎場・葬儀場は、港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区の5区が共同で運営する斎場・葬儀場です。

式場使用料 5万6千円

次に、東京都にある民営の斎場・葬儀場の一例として、四ツ木斎場の使用料を紹介します。
四ツ木斎場は、東京博善という民間企業が運営する斎場・葬儀場です。

式場使用料 21万6千円

このように、公営の斎場・葬儀場と民営の斎場・葬儀場では、使用料に大きな開きがあります。
公営の斎場・葬儀場は、使用料が安いだけではありません。東京都練馬区のように、練馬区内の指定された斎場・葬儀場を使用した場合、葬儀後に自治体から助成金(上限3万円)が支払われるところもあります。

特徴2 火葬場が併設されている

第2の特徴は、火葬場が併設されている斎場・葬儀場が多いことです。
火葬場が併設されているとメリットが2つあります。
メリットの1つは、葬儀費用を抑えられることです。
もし、斎場・葬儀場と火葬場が遠く離れていたら、車で移動することになります。故人を火葬場まで連れていく霊きゅう車や、火葬に立ち会う方が多い場合はマイクロバスも必要になるので、霊きゅう車やマイクロバスの費用が発生します。一方、斎場・葬儀場に火葬場が併設されていれば、徒歩で移動できるので、移動にかかる費用が発生しません。
メリットの2つ目は、移動の負担を抑えられる事です。
斎場・葬儀場と火葬場が同じ施設にある場合は、天候が悪くても雨に濡れる心配もありませんし、火葬される最後のお別れの瞬間まで、多くの方に立ち会ってもらうこともできます。
移動の時間が短縮できるので、高齢の方への負担も抑えられますし、遠方から参列している方も、ゆっくりと故人を偲ぶことができます。

特徴3 宗教の制限が少ない

第3の特徴は、葬儀の制限が少ないことです。
多くの斎場・葬儀場は、宗教・宗派の制限がありません。仏教葬はもちろん、神道葬、キリスト教葬、無宗教葬の葬儀を行うことができます。施設によっては、新興宗教の葬儀も行えます。

利用上の注意 使用料が安くならない場合がある

公営の斎場・葬儀場を安く使用するためには、条件を満たす必要があります。その条件とは、斎場・葬儀場を運営する自治体に、故人またはその家族の住民票があることです。自治体によって条件は異なるため、確認が必要です。

公営の斎場・葬儀場のまとめ

公営の斎場・葬儀場のまとめ

特徴1:斎場・葬儀場の使用料が安い

特徴2:火葬場が併設されているので、移動の費用が発生しない。
    移動の負担が抑えられる

特徴3:宗教の制限が少ない

利用上の注意:
斎場・葬儀場を運営する自治体に住民票がないと使用料が安くならない場合がある

民営の斎場・葬儀場の3つの特徴と利用上の注意

次に、民営の斎場・葬儀場について説明します。民営の斎場・葬儀場の特徴も3つあります。

特徴1 立地やスケジュールに合わせて選べる

民営の斎場・葬儀場は数が多いため、葬儀を行う地域や規模、スケジュールに合わせて選ぶことができます。
参列のしやすさで選ぶ → 最寄り駅から近い斎場・葬儀場の中から選ぶ
すぐに葬儀を行いたい → 自宅から離れていても最短で葬儀の予約ができる斎場・葬儀場を選ぶ
など、選択肢の幅が広いことが特徴です。

特徴2 設備がきれいで整っている

民営の斎場・葬儀場は、公営の斎場・葬儀場に比べて設備がきれいで充実している傾向にあり、なかには、家族や親族を中心にお別れをする家族葬に特化した斎場・葬儀場もあります。
例えば、一軒家のような作りでリビングやキッチンがあり、まるで自宅のように団らんの時間を過ごすことがでます。お通夜を終えた夜の宿泊を前提としているため、浴室などのサニタリーも充実しており、宿泊時の行動に制限がないので夜間でも自由に出入りができ、ろうそくや線香の火を絶やすことなく朝を迎えることができる施設があります。

特徴3 宗教の制限が少ない

3つ目の特徴は、公営の斎場・葬儀場と同じように、葬儀の制限が少ないことです。
多くの斎場・葬儀場は、宗教・宗派の制限がありません。仏教葬はもちろん、神道葬、キリスト教葬、無宗教葬の葬儀を行うことができます。施設によっては、新興宗教の葬儀も行えます。

利用上の注意 葬儀社を選べないことがある

民営の斎場・葬儀場には、一般の企業が所有するものと、葬儀社が所有するもの2種類に分けられます。
一般の企業が所有する斎場・葬儀場であれば、どの葬儀社でも利用できるように貸し出しています。一方、葬儀社が所有する斎場・葬儀場は、貸し出しを行っていないため、所有する葬儀社しか利用できません。
事前に葬儀を依頼する葬儀社を決めている場合は、希望する斎場・葬儀場で葬儀を行うことができるかどうか、確認しましょう。

民営の斎場・葬儀場のまとめ

民営の斎場・葬儀場のまとめ

特徴1:立地やスケジュールに合わせて選べる

特徴2:設備がきれいで整っていて、一軒家風の斎場・葬儀場もある

特徴3:宗教の制限が少ない

利用上の注意:
斎場・葬儀場によっては、葬儀社を選べない場合がある

寺院の斎場・葬儀場の特徴と利用上の注意

最後に、寺院の斎場・葬儀場の特徴を紹介します。
寺院で葬儀を行う場所は、本堂もしくは境内に併設されている斎場・葬儀場のどちらかです。
ここで紹介するのは、境内に併設された斎場・葬儀場です。

特徴 境内に併設された斎場・葬儀場は他宗派でも利用できる

仏教の主な宗派として真言宗、天台宗、日蓮宗、浄土宗、曹洞宗、臨済宗などがあります。
寺院の本堂で葬儀を行う場合は、その宗派の葬儀しか行えませんが、境内に併設された斎場・葬儀場は、他の宗派でも利用できるところもあります。

利用上の注意 葬儀社を選べないことがある

寺院によっては、葬儀社を指定されることがあります。
事前に葬儀を依頼する葬儀社を決めている場合は、希望する寺院の斎場・葬儀場で葬儀が行えるかどうか、確認しましょう。

寺院の斎場・葬儀場のまとめ

寺院の斎場・葬儀場のまとめ

特徴1:境内に併設された斎場・葬儀場は他宗派でも利用できる

利用上の注意:
斎場・葬儀場によっては、葬儀社を選べない場合がある

斎場・葬儀場の選び方 7つのポイント

斎場・葬儀場を選ぶうえで最も大切なことは、葬儀を行う方の考えが定まっていることです。
斎場・葬儀場を選ぶためにはいくつか基準がありますが、その基準の中で最も重視することが決まれば、おのずと最適な斎場・葬儀場を選ぶことができるからです。

これから、斎場・葬儀場の選び方を紹介しますが、 その前に必ず確認してもらいたいことがあります。

菩提寺があるかどうかを確認する

菩提寺とは、お墓があったり、位牌を納めていたりするお寺のことです。
菩提寺がある方は、故人が亡くなった際に、必ず連絡を入れましょう。菩提寺によっては、寺院の本堂や、寺院が所有する斎場・葬儀場で葬儀を行うことを条件としている場合があるからです。
菩提寺の意向を無視すると、どのようなことが起こるのでしょうか。
一例としては、戒名を授けてもらえない、お墓への納骨を断られる、といったことが起こりえます。

必ず菩提寺に確認したうえで、 これから紹介するポイントをもとに、 斎場・葬儀場を選びましょう。

葬儀費用を少しでも安く抑える

火葬場が併設されている、公営の斎場・葬儀場を選びましょう。
民営の斎場・葬儀場に比べて使用料が安く、火葬場に移動するために必要な霊きゅう車や、マイクロバスの費用が発生しないからです。

お世話になった多くの方が参列する葬儀を行う

会社関係や近所の方など、家族や親族以外の方が参列する一般葬を行う場合は、参列者の人数が500人を超える場合があり、そうなれば、対応できる斎場・葬儀場は限られてしまいます。
公営の斎場・葬儀場か、大規模な民営の斎場・葬儀場から選びましょう。

参列する高齢者の負担を抑える

参列者の高齢化は年々進んでいます。高齢の方の中には、参列したくても「家族に迷惑をかけたくない」という理由から、参列を辞退する方もいます。
大切な方と最後のお別れができなかったことが心残りとならないように、高齢の方に安心して参列してもらえる斎場・葬儀場を選ぶには、どんなポイントを押さえておけばいいのでしょうか。そのポイントは3つあります。

ポイント1 バリアフリーに対応しているか

施設のバリアフリー対応は当たり前となっていますが、古い斎場・葬儀場の中には、バリアフリー対応が進んでいないところもあります。
段差のある場所にスロープを設けているか、車いす用のトイレがあるかチェックしてください。

ポイント2 待合室や食事をする部屋が洋室か

洋室であれば椅子席なので、立ったり座ったりする動作の負担は抑えられます。
斎場・葬儀場によっては、待合室が食事をする部屋が、洋室、和室の両方あるところもあるので、洋室を選べるか確認しましょう。

ポイント3 斎場・葬儀場へのアクセスがいいか

斎場・葬儀場までの交通手段が車であれば問題ありませんが、電車やバスであれば、駅や停留所からなるべく近い場所にある斎場・葬儀場を選びましょう。

遠方から参列する親族の負担を抑える

遠方から参列する親族にとって、移動の負担は大きいものです。
遠方から参列する親族の負担を抑えるのであれば、新幹線や特急が停車するターミナル駅や、空港からのアクセスがいい場所にある斎場・葬儀場を選びましょう。
遠方から参列する親族が、お通夜と葬儀・告別式に参列する際は、宿泊先の手配が必要になる場合があります。その場合は、斎場・葬儀場のそばにホテルなどの宿泊施設があることも、斎場・葬儀場を選ぶポイントとなります。

故人と過ごす最後の時間を大切にする

葬儀はお通夜と、葬儀・告別式の2日間にわたって行われます。
かつては、お通夜の夜にろうそくの灯を絶やさずに過ごす、「寝ずの番」をすることが当たり前でした。この風習は、あの世とこの世をつなぐ役割を持つ火を絶やさないことで、故人の魂を迷わずにあの世へ導くために行うという説や、故人の体に悪い霊が入り込まないように見守るために行うという説があります。寝ずの番を希望する方は、斎場・葬儀場の中から宿泊設備を備えている施設を選びましょう。
また、会社関係の方や近所の方が参列する一般葬では、いざ葬儀の日を迎えると、参列者への挨拶や僧侶への対応などで慌ただしく、故人を偲ぶ時間が限られてしまいがちです。故人との思い出を振り返り、最後のお別れの時間をゆっくり過ごしたい場合は、宿泊できる斎場・葬儀場を選んではいかがでしょうか。

近所の方に亡くなったことを知られずに葬儀を行いたい場合は

最近では、家族や親族を中心にお別れをする家族葬を行うために、故人が亡くなったことを近所の方に知られたくないという方が増えています。もし、故人が亡くなったことを近所の方が知ったら、参列される可能性があるからです。
家族葬を行うために、あえて自宅から遠く離れた斎場・葬儀場で葬儀を行うことも、選択肢のひとつです。

斎場・葬儀場の選び方のまとめ

斎場・葬儀場の選び方のまとめ

■ 斎場・葬儀場を選ぶ前に、菩提寺の有無を確認する

■ 葬儀費用を少しでも安く抑えたい場合:火葬場を併設した公営の斎場・葬儀場を選ぶ

■ お世話になった多くの方が参列する葬儀を行う場合:規模の大きい斎場・葬儀場を選ぶ

■ 参列する高齢者の負担を抑えたい場合:バリアフリー対応、洋室、アクセスのよさの3つのポイントから斎場・葬儀場を選ぶ

■ 遠方から参列する親族の負担を抑えたい場合:ターミナル駅や空港からアクセスのいい斎場・葬儀場を選ぶ

■ 故人と過ごす最後の時間を大切にしたい場合:宿泊可能な斎場・葬儀場を選ぶ

■ 近所の方に亡くなったことを知られたくない場合:あえて自宅から遠く離れた斎場・葬儀場を選ぶ

斎場・葬儀場の探し方

日常の生活の中で斎場・葬儀場を目にすることは少ないので、どこに斎場・葬儀場があるのかわからない方もいるかと思います。
最後に、斎場・葬儀場を簡単に探すことができる方法を紹介します。
最も簡単な方法は、インターネットで検索することです。公営の斎場・葬儀場がどんな施設なのか、どこにあるか知りたいという方は、自治体のホームページで確認することができます。
葬儀を希望する地域が決まっている場合は、その地域名といっしょに、「斎場・葬儀場」と入力して検索すれば、すぐに表示されます。地域によっては、複数の斎場・葬儀場が表示されることもあります。普段はなじみがない場所だけに、どこを選べばいいのか、選ぶ基準がわからないという方は、斎場・葬儀場の選び方を読み返してください。
斎場・葬儀場には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。事前に申し込めば、見学ができる斎場・葬儀場もあります。百聞は一見にしかず。いざというときに、「どの斎場・葬儀場を選んでいいのかわからない」と慌てないためにも、足を運んでみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
桑原 侑希
桑原 侑希 大手葬儀社にて、10年以上葬儀業に従事し約2000件の葬儀を行ってきました。葬儀のことは勿論、ご葬儀までの終活の相談や、葬儀が終わった後のご供養方法、各種手続きについての相談を受ける内に、その道のエキスパートに。皆さんの葬儀・終活にまつわる「なぜ?」にお答えします。
お葬式ナビ
お葬式ナビで、あなたにぴったりな葬儀社を無料で探してみませんか。
▼詳細はこちら▼