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喪主の役割・施主の役割
葬儀を行う際、葬儀社が家族に必ず聞くことがあります。
それは、「ご家族の中で、どなたが喪主を務めますか?どなたが施主を務めますか?」
特に、覚えておく必要はありません。その際には葬儀社から説明されますが以下の違いがあります。
喪主:故人に代わって弔問を受ける遺族代表
「内容面」を取りまとめる人
施主: 葬儀の費用を負担する人
「費用面」を取りまとめる人
なぜ葬儀社はこの質問をするのでしょう?
ざっくばらんな意見を述べると、「葬儀後のトラブル回避」です。
ほとんどの場合、喪主も施主も同一人物が務めます。その場合は葬儀内容の打ち合わせも、かかる費用の案内もその人の意見を中心に家族の考えを取りまとめていきます。
もし、喪主と施主がそれぞれ別の方が務める場合には、「内容面」の喪主と「費用面」の施主、両者の意向に沿った提案が出来ているか?をより慎重に進めます。
例えば、喪主さんが盛大なご葬儀を行いたいと考えていて、豪華な祭壇や棺を用意したとします。当然、その分葬儀費用も高額になりますが、それを施主さんにも了承してもらわなければ葬儀が終わってから、「こんなに高額な葬儀費用がかかるとは知らなかった」と費用面で不満が出てしまう事や、反対に、施主さんがなるべく費用を抑えたいと考えていて、火葬式や直葬と呼ばれる火葬場で5分程のお別れをするご葬儀を行った後、故人様の訃報を知り葬儀に参列できなかったからと、喪主さんのご自宅に連日のように弔問客が来てしまい、「こんなことなら、ちゃんとお別れを行う場を作ればよかった」と内容面で後悔を残すこともあります。
上記の例は、喪主・施主が別人物だった場合のみに起こる事ではありませんが、葬儀社は、葬儀の専門家として家族の意向を取りまとめ、家族に後悔のないご葬儀を行ってもらうために必要な確認事項という訳です。
喪主が主に行う3つのこと
葬儀の内容面を取りまとめる喪主は、遺族の代表として葬儀を執り行い、故人様に代わって弔問を受ける役割で、具体的には以下の対応を行います。
葬儀全体のとりまとめ
喪主は、葬儀内容についての最終決定権者です。
まず、葬儀の日程や場所・形式について、家族・親族間および寺院の都合を確認しながら、調整を進めます。
その後、祭壇や棺・遺影写真や葬儀の進行など具体的な準備を、葬儀社と打ち合わせを行い決定します。
葬儀当日は、打ち合わせ内容のとおりに準備が整っているか、当日の状況応じて進行が進んでいるか確認します。
寺院への連絡
お付き合いのあるお寺さん(=菩提寺)に連絡をとり、葬儀日程を行います。(菩提寺がいない場合は、葬儀社などに寺院手配を依頼します。)
仏式の葬儀では、お寺さんに依頼して戒名を授けてもらいます。戒名には「信士・信女」「居士・大姉」「院号」の位があるのでどの位を授かるのかと、ご住職に故人様の人柄などを伝えて、その人らしい漢字を用いた戒名を考えてもらいます。
葬儀中の様々な場面でのご挨拶
葬儀中には喪主として、様々な場面で挨拶を行います。
・ご住職にお布施をお渡しするとき
・会葬者の方が式場に到着したとき
・通夜や通夜振る舞いを閉式するとき
・収骨後や精進落としの席を閉式するとき
・出棺時
喪主はどうやって決める?
喪主を決めるのに、法律的なルールはありません。家族で相談して決めます。
一般的には、ご健在であれば故人様の配偶者の方→お子様の順で決めることが多いです。
編集長の終 活平が提案する喪主の決め方
Ending Life 編集長 終 活平は、喪主様を決める際にご家族の状況に応じて、以下のアドバイスをしております。
配偶者が健在なら
故人様の配偶者の方がご健在であれば喪主様として、もし、配偶者の方がご高齢な場合は実質的な喪主の役割をお子様方が代行される事、特に以下のようなご家族にはおすすめです。
故人様の配偶者も高齢で施設に入居や入院中のため、葬儀に参列できない
葬儀に参列できなくてもせめてご葬儀に参加いただく手段として、喪主として配偶者の方に名のっていただきます。そうすると、ご葬儀当日も自然と喪主様の話にふれる事にもなり、家族が故人様ご夫妻を想い、葬儀を行う事ができます。
葬儀後の訃報連絡で、誤解がないようにしたい
最近は家族葬が主流となり、葬儀後に遠方の親族やご近所の方にご訃報をお伝えするケースも増えています。
その後、先様からお香典をいただいた場合には、お香典返しにてご挨拶しますがその挨拶状がご健在の配偶者のお名前でないと「配偶者の方は既に他界なさったのか?」と誤解される事もあるので、配偶者の方のお名前でご挨拶状を作成する事をおすすめします。
複数人で喪主を務める事も
喪主は1人で行う必要はありません。
ご家族の誰か一人が決定権者として責任を担う事に負担を感じる方には、配偶者の方とお子様の2人や、故人様のお子様全員で喪主と務める事をおすすめする事もあります。
このケースは、ご葬儀の打ち合わせもお孫様含めてご家族全員が参加されることが多く、ご遺影写真選びなど思い出話をしながら和気あいあいと決まり、ご葬儀当日も結束感が強い印象があります。
喪主の挨拶で悩んだら
葬儀中には喪主として、様々な場面で挨拶を行います。
普段から人前で話す機会がない方にとって、慣れない葬儀のご挨拶はプレッシャーに思う方も多くいます。
ここでは、ご挨拶のタイミングとそのポイントをご紹介します。
挨拶が必要となるタイミングとポイント
喪主さんが挨拶をするタイミングは以下となります。
・ご住職にお布施をお渡しするとき
・会葬者の方が式場に到着したとき
・通夜や通夜振る舞いを閉式するとき
・収骨後や精進落としの席を閉式するとき
・出棺時
ご挨拶が苦手な方は暗記しようと思わず、紙に書いて読み上げてもよいでしょう。
挨拶で大切な事は、たった2つです。
1.参列頂いたことへの感謝の気持ちを表すこと。
2.故人様が生前お世話になった事への感謝の気持ちを伝える事
挨拶例
挨拶が必要となるタイミング事の挨拶例として、以下が考えられます。
ご住職にお布施をお渡しするとき
ご住職へのご挨拶は、手短に行います。
・葬儀開式前のご挨拶
本日は、お忙しいところご足労頂きありがとうございました。
私は、故人●●の××(妻・長男などの続柄)で△△です。
至らぬ点もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
・葬儀閉式後のご挨拶
本日は、おつとめいただきありがとうございました。
おかげ様で、滞りなく終える事ができました。
今後もご法要などでお世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
会葬者の方が式場に到着したとき
参列者からの挨拶に対して、お礼を述べます。複数の参列者へご挨拶をするタイミングとなるので、簡潔に行いましょう。
お忙しいところ、ご足労頂きありがとうございます。
●●(故人様のお名前や父などの続柄)も、ご参列頂いて喜んでいると思います。
(開式まで時間があれば) よろしければ、故人の顔を見てあげてください
通夜や通夜振る舞いを閉式するとき
通夜や通夜振る舞いの閉式は、以下の流れでご挨拶をするとよいでしょう。
本日はお忙しい中を、お越しいただきありがとうございました。
皆様方においでいただき、○○もさぞかし喜んでいることと存じます。
夜も更けてまいりました。明日に差し支えがございましては○○に叱られてしまいます。
本日はこれでお開きとさせていただきたく存じます。
なお、明日の告別式は○○時から行いますので、よろしくお願い申し上げます。
お帰りの際はどうぞお気をつけくださいませ。本日はありがとうございました。
収骨後や精進落としの席を閉式するとき
収骨後や精進落としの閉式の際にご挨拶がないと、参列者は散会のタイミングが掴めません。一言程度でかまいませんので、お声がけをしましょう。
長時間にわたりご参列いただき、誠にありがとうございました。
本日は、これにて失礼させていただきます。
どうか皆様お気をつけてお帰りください。
ありがとうございました。
出棺時
葬儀の中で一番改まったご挨拶の場面が、出棺時のご挨拶になります。
定型的なご挨拶の流れの中にも「故人様とのエピソード」や「家族の思い出」を織り交ぜたオリジナルの挨拶はとても素敵です。
●●(故人様のお名前)の〇〇(妻・長男などの続柄)の△△(自身のお名前)でございます。遺族を代表してご挨拶させていただきます。
本日は、お忙しいところご参列くださいまして、誠にありがとうございます。この様に(大勢の方にお見送り頂き / 生前より親しくしていただいた皆様にお見送り頂き) 故人も喜んでいることと存じます。
故人様の口癖や家でのご様子など、家族から見た故人様の性格や日常のご様子。
ご高齢な故人様であれば、お孫さんが生まれる前のエピソードなど、父や母としてどんな方だったのかなど、どう生きてきたかをお伝えする機会です。
●●(故人様のお名前)は、皆様の支えがあってこその人生でした。
●●に代わりまして、生前に賜りましたがご恩情に深く感謝を申し上げます。
残された遺族に対しましても今後ともご指導、ご厚誼をたまわりますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
自分の想いがこもった挨拶を
家族を亡くし、体力・精神的にも不安定な状態で慣れない挨拶を考えるのは、辛いことかもしれません。
葬儀の挨拶は上手く話せるかではなく、感謝の想いを伝える事ができれば大丈夫です。
無理に長くご挨拶する必要もありません。短くても 一言一言ゆっくりと話せば、気持ちは伝わります。
故人を前にして、感謝の想いを伝える最後のタイミングでもあるので、自分の言葉でご挨拶ができると良いですね。