手続き / 相続

葬儀後の手続きで必要な 戸籍謄本の取り方は?

葬儀後の手続きには、戸籍に関する書類が必要

義父の葬儀中に、参列してくれた親戚から「葬儀が終わった後の事も大変よ。」と声を掛けられた時、大切な義父を看取り、葬儀社の手配・打ち合わせと短期間で目まぐるしい日々を経て、やっと葬儀を迎えたのにこの先の事まで考えられないと、その言葉にピンときませんでした。
しかし、葬儀を終えてほっと胸をなでおろし、葬儀社からもらったある資料に目を止めると、
手続きの一覧がA3用紙にビッシリと書き込まれており。。。

葬儀後手続き一覧葬儀後手続き一覧

もちろん、この一覧の手続きを全て行う必要はなく、家族の状況に応じて“やる” “やらない”が出てくるので、それを見極めて手続きを進めました。
そこで、大変だったのが「戸籍の取り寄せ」「住民票や印鑑証明のとりまとめ」でした。
今回は「戸籍の取り寄せ」について、ご案内します。
今、まさに手続き中で 以下のお悩みがある方は、是非 ご参考ください。

・亡くなった人の本籍地がわからない
・故人の「生まれてから亡くなるまでの」戸籍が必要って言われたけど、どうしたらいいの?
・本籍地が遠くて、窓口まで取りに行けない
・戸籍ってコピーを提出したら、ダメなの?
・提出した戸籍、手続き先は何をチェックしている?

戸籍謄本が必要な手続き

戸籍謄本が必要な手続きって、何でしょう?
家族によって“やる”“やらない”を見極める必要はありますが、多くの人があてはまりそうな手続きと言えば、以下が挙げられます。

年金関係

家族によっては遺族年金が貰えたり、亡くなった方がすでに年金を貰っていれば未支給年金を受け取りたりします。
参考:年金を受けている方が亡くなったとき
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html
出典:日本年金機構

銀行や証券会社などの金融機関

銀行や証券会社は、「遺言書があるか・ないか」で用意する戸籍謄本の種類がかわってきますが、誰かしらの戸籍謄本は必要です。
参考:相続続きのご案内 必要な書類について
http://www.daiwa.jp/service/inheritance/procedure/document.html#anc-02
出典:大和証券
参考:相続の手続を行う際に必要となる書類は何ですか?
https://qa.smbc.co.jp/faq/show/2215?category_id=167
出典:三井住友銀行

不動産の名義変更

不動産の名義変更(登記申請手続き)についても、「遺言書があるか・ないか」で用意する戸籍謄本の種類がかわってきますが必要です。
下記にリンクしたサイトを見てもらうと案内はあるんですが、とても分かりにくいんです。手続きが必要な場合は、戸籍を役所に取りに行く前に法務局へ問合せしたほうが、確実だと思います。
参考:不動産の所有者が亡くなった
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/fudousan4.html
出典:法務局
各申請書の記載例に<記載における注意事項等>があり、案内があります。

手続きによって必要な戸籍謄本は変わる

そもそも、各手続き先は戸籍謄本で何をチェックしているんでしょうか?
下記で、ケース毎のチェック箇所と戸籍の読み解き方をご案内します。

Topic 戸籍謄本と戸籍抄本の違い

手続きに必要な書類の案内で、「故人の戸籍謄(抄)本」や「相続人の戸籍抄本」と記載されている事がありますが、何が違うんでしょうか?

戸籍
戸籍に入っている家族全員分の情報を写したものです。 コンピュータ化に伴い、「戸籍全部事項証明書(戸籍に記載されている全員を証明するもの)」という名称でも呼ばれます。

戸籍
戸籍に入っている特定個人の情報を写したものです。
コンピュータ化に伴い「戸籍故人事項証明書(戸籍に記載されている個人を証明するもの)」という名称でも呼ばれます。

各種手続きを進めると、誰の戸籍が必要(故人?申請者?相続人全員?)を取りまとめる必要がありますが、さらに、「謄本が必要?」「抄本が必要?」とやりだすと結構、手間なんですよね。

「謄本」も「抄本」も、役所で支払う1枚あたりの発行手数料は同額です。
手続き先は、戸籍抄本が必要と案内があっても、戸籍謄本を提出すれば、受理してくれます。
手続きによっては、戸籍書類の原本を一旦提出し、手続きが完了したら、書類が戻ってくる事もあるので、戸籍を使い回す事も考えて、
葬儀後の手続きで戸籍が必要な場合は、戸籍謄本で用意すると良いです。

亡くなった事を確認するために必要と言われたら

手続きに必要な書類の案内に、以下のように書いてある場合です。

・亡くなられた方の戸籍謄本
・被相続人が亡くなられたことが確認できる戸籍謄本等

この場合、亡くなった方のお名前の欄に「除籍」と記載されている、戸籍謄本を用意します。

亡くなった時の戸籍亡くなった時の戸籍

この資料で手続き先が確認するのは、こんな事です。

除籍記載のある戸籍謄本は死亡届を提出すると、役所内で作成手続きが進みます。
役所内で作成完了までに時間を要しますが、死亡届を出した役所に本籍地があれば約3日~5日・死亡届の届け出先と本籍地が異なる場合は、10日~14日が目安のようです。

せっかく取りに行ったのに、除籍記載のある戸籍謄本が取れなかった

なんてことにならないように、取りに行くタイミングを気を付けてくださいね。

生まれてから亡くなるまでの戸籍が全て必要と言われたら

手続きに必要な書類の案内に、以下のように書いてある場合です。

・お亡くなりになったお客さまの戸籍謄本(原本)
 お生まれになった時から亡くなられた時までの連続した戸籍謄本をご準備ください。

・登記原因証明情報として,遺産分割協議書及び被相続人(死亡した方)の出生から死亡までの経過の記載が分かる戸籍全部事項証明書(戸籍謄本),除籍全部事項証明書(除籍謄本)等を添付します。

・亡くなられた方の戸籍謄本(「16歳の誕生日以降、亡くなられた時」までの連続したもの)

この場合、亡くなった方のお名前の欄に「除籍」と記載されている、戸籍謄本からさかのぼって、お生まれ時点の戸籍まで取り寄せます。

◎生まれたとき
亡くなった方の両親の戸籍に入っています。

生まれた時の戸籍生まれた時の戸籍

◎結婚した時
結婚すると両親の戸籍から抜けて、亡くなった人とその配偶者(=夫妻)で戸籍を新たに作ります。
夫妻に子供ができると、その戸籍に子供も入ります。

結婚した時の戸籍結婚した時の戸籍

◎亡くなった時
亡くなった方のお名前の欄に「除籍」と記載された戸籍が出来ます。

亡くなった時の戸籍亡くなった時の戸籍

昭和生まれのご両親の戸籍を取る場合は、「生まれたとき」「結婚した時」「亡くなった時」で、最低3枚の戸籍が出てくるでしょう。
それ以外に、引っ越しの度などに戸籍住所を変更していた場合や離婚や再婚・養子縁組があった場合、家族の申請がなくても法律の改正があって戸籍の作り替えが発生している場合もあるので、それら全てを揃える必要があります。

この一連の資料で手続き先が確認するのは、こんな事です。

相続人として申請をしてている人が、間違いなく相続人なのか?  申請者以外に、他に相続人がいないか?

戸籍を集めるコツは、“亡くなった時点からさかのぼって生まれた時の戸籍までを取る”です。
この後、戸籍謄本の取り方の章で詳しく説明します!

相続人の戸籍が必要と言われたら

手続きに必要な書類の案内に、以下のように書いてある場合です。

・亡くなった方と請求する方の身分関係が確認できる書類(戸籍謄本等)

・すべての相続人さまの戸籍謄本(原本)
お亡くなりになった方との関係がわかる戸籍謄本
(お亡くなりになった方の戸籍謄本で確認できる場合は不要です。)

・遺産分割協議の当事者である相続人全員の戸籍全部
(一部)事項証明書(戸籍謄抄本)も添付してください。
被相続人が死亡した日以後の証明日のものが必要です。
被相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等と重複するものがある場合は,重ねて提出する必要はありません。

この場合、相続人の戸籍謄本を用意します。
この一連の資料で手続き先が確認するのは、こんな事です。

相続人として申請をしてている人が、間違いなく相続人なのか?  相続人が亡くなっていないか?

書類を集める際の、ポイントがあります。

●結婚した相続人は、自分の最新状況の戸籍謄本を用意する
亡くなった方のお子様が、既に結婚をしている場合などは親の戸籍から抜けているので、ご自身の現在の戸籍を1枚提出します。その戸籍には、両親の名前が入っているので相続関係を確認する書類となります。

結婚した子供の戸籍結婚した子供の戸籍

●亡くなった人の配偶者や未婚の子供は、個別に戸籍を用意する必要がない
亡くなった人の戸籍謄本を取ると、その戸籍に入っている人全員の情報が記載されているので、配偶者や未婚の子供は個別に自分の戸籍謄本を取る必要がありません。
手続きの案内資料で「お亡くなりになった方の戸籍謄本で確認できる場合は不要です。」や「相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等と重複するものがある場合は,重ねて提出する必要はありません。」と記載されているのは、そのためです。

配偶者・未婚の子供の戸籍配偶者・未婚の子供の戸籍

戸籍謄本の必要枚数を見極めよう

年金は原本の提出が必須です。ただし、役所によっては公的年金の手続きに必要な戸籍は無料で発行してくれる場合もあるので、役所で利用目的を伝えて無料発行して貰えるか確認してみると良いでしょう。
また、金融機関の手続き案内には、以下の文言が多く見られます。
「書類は原本をご提出ください。その後、原本を必要とされる場合、お申し出によりご返却いたします。」
つまり、一旦戸籍謄本の原本を提出しても手続きが終わったら返してくれるという事です。もし、手続きをしないといけない銀行が2つあった場合も1セット書類を用意すれば使い回しができます。
戸籍は、1通450円や750円と費用がかかります。(我が家の場合は、義父の生れてから亡くなるまでの一式の戸籍を集めたら、2700円になりました)
使い回しのデメリットとして、一つの手続きが終わらないと戸籍が戻ってこないので次の手続きを進められない事が挙げられますが、銀行手続きには期限が決まっていないので、家族の状況に応じて戸籍は何セット用意して使い回すのか?を決めると良いでしょう。

戸籍謄本の必要枚数を見極めよう

本籍地の調べ方

戸籍謄本を取る前に本籍地を知る必要があります。なぜなら、本籍地のある役所でしか、戸籍謄本を取る事ができないからです。
もし、亡くなった人の本籍地がわからない場合はどうやって調べると良いのでしょうか?

●H4:死体埋葬(火葬)許可申請書を確認する
葬儀の際に、火葬場で死体埋葬(火葬)許可申請書を貰います。その書類には、亡くなった人の本籍地が記載されているので、確認する事ができます。

●H4:住民票で確認する
本籍地を調べたい人の住民票を取る時に、「本籍地の記載」を依頼すると、住民票に本籍地を記載してくれるので、確認する事ができます。

●H4:免許証で確認する
現在のICチップ入りの運転免許証をお持ちの場合、警察署や免許試験場、免許センターに設置してある「IC免許証記載内容下記人装置」で確認ができます。ただし、免許証の更新時に4桁の番号を2種類設定していますが、3回間違えるとロックされてしまいますので、注意が必要です。(昔の免許証は、本籍地住所が記載されています。)

戸籍謄本の取り方

戸籍謄本を請求できる人は、以下の続柄の人になります。

Topic 戸籍謄本を請求できる人

本人
夫や妻 (配偶者)
父母や祖父母 (直系尊属)
子や孫 (直系卑属)

子や孫が未成年者でも、戸籍を取る事ができます。
上記に該当する場合も、結婚などにより亡くなった人の戸籍から抜けている場合は、亡くなった人との関係性を確認できる資料が必要なので、先にご自身の戸籍謄本を用意すると良いでしょう。
上記以外の人で例えば、長男の奥さんが亡くなった方の戸籍を取る場合には、委任状が必要となります。(ひな形は、市区町村のホームページからダウンロードする事ができます。)

委任状委任状

窓口の取り方

窓口に取りに行く場合は、以下の必要書類を持参しましょう。
 ・窓口に行く人の本人確認書類(運転免許証・パスポート・住基カード など)
 ・亡くなった人の戸籍に自分の名前がのっていない直系親族が取りに行く場合は、親族関係の確認ができるように、自身の戸籍謄本(コピーも可)を持参します。
 ・直系の親族以外の方が代理人として戸籍を取りに行く場合は、上記の必要書類の他に委任状を持参します。
 ・現金 (戸籍謄本を発行するために、手数料が必要となります。)

窓口では、戸籍に関する証明書の交付請求書と呼ばれるような、書類があるので必要事項を記入します。役所によって書式は異なりますが、記載・提出する際のポイントがあります。

1.必要な戸籍について

必要な戸籍について

・本籍・・・本籍地の記載は必須となります。提出先も本籍地のある市役所となります。
・筆頭者・・・住民票の世帯主と違って、本籍の筆頭者は亡くなっても変わりません。
・請求者と証明が必要な方との関係・・・該当する続柄をチェックします。

もし、請求する戸籍謄本に請求者がのっていない場合は、親族関係の確認ができるように、自身の戸籍謄本(コピー可)を用意します。その他、直系親族以外が請求する場合は、直系親族からの委任状も用意しましょう。

2.請求する証明書の種類

請求する証明書の種類

「亡くなった事の確認」「相続人であることの確認」のために戸籍を提出する場合は、戸籍の全部事項証明書(戸籍謄本)を必要枚数用意します。
「亡くなった人の生れてから亡くなるまで全て」の戸籍を提出する場合は、上記の戸籍謄本以外に、除籍・原戸籍の全部事項証明書(戸籍謄本)を用意します。
ただし、除籍・原戸籍の全部事項証明書(戸籍謄本)は、実際に取り寄せてみないとその役所に何枚存在するか分かりません。
役所の申請書類には、「□必要な方の 出生・婚姻・転籍 から 婚姻・死亡・転籍 までの戸籍 ( )組」など、取得範囲を細かく指示する記載欄がありますが、下記の記入例のとおり書いて提出することがおすすめです。
「亡くなった●● の相続手続きのため 生まれてから亡くなるまでの戸籍が(  組)必要」
そうすれば、役所側でそこにある戸籍を調べて必要書類を集めてくれるので、もれなく戸籍を集める事ができます。

請求する証明書の種類

「亡くなった人の生れてから亡くなるまで全て」の戸籍を受け取る際には、役所の方に「この本籍地以外に、亡くなった〇〇の戸籍はありますか?」と聞くと良いです。役所の方は戸籍謄本の読み方に慣れているので、手がかりを教えてくれます。

郵送で取り寄せる

本籍地が遠方の場合だったり忙しくて平日に役所に行くことが出来なかったら、郵送で戸籍謄本を取り寄せる事ができます。
申請する役所のホームページを検索すると郵送申請用の交付請求書がダウンロードできます。記載・提出する際のポイントは、上記の窓口申請を参考にしてください。
郵送申請の場合、交付請求書と一緒に以下の必要書類を同封します。

郵送で取り寄せる

まとめ

最近では行政書士事務所などが、戸籍の取り寄せを代行する有料サービスを行っていて、銀行などでおすすめされる事もあります。相続人の人数や取り寄せる戸籍の枚数によって実費に差がありますが、加えて、手数料として2万円~23万円が相場のようです。
その他にも、税理士事務所に相続税申告の対応を依頼している場合、オプションの有料サービスとして戸籍の取り寄せも依頼出来たりするようです。
戸籍の取り寄せは手間がかかりますが、家族でやって出来ない事はないかと思います。まずは、ご自身で戸籍を取り寄せてみて、無理なら有料サービス利用すると良いかもしれません。

ABOUT ME
桑原 侑希
桑原 侑希 大手葬儀社にて、10年以上葬儀業に従事し約2000件の葬儀を行ってきました。葬儀のことは勿論、ご葬儀までの終活の相談や、葬儀が終わった後のご供養方法、各種手続きについての相談を受ける内に、その道のエキスパートに。皆さんの葬儀・終活にまつわる「なぜ?」にお答えします。
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